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京都地方裁判所 昭和57年(わ)378号 判決 1982年5月26日

本店の所在地 京都市南区吉祥院蒔絵町三二番地

法人の名称

興進タクシー株式会社

代表者の住居

京都市伏見区桃山町島津五八番地

代表者の氏名

河野政雄

本籍 京都市伏見区桃山町島津五八番地

住居

京都市伏見区桃山町島津五八番地

職業

会社役員

氏名

河野政雄

生年月日

大正一五年七月三〇日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官清水治出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人興進タクシー株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人河野政雄を懲役八月に各処する。

被告人河野に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人興進タクシー株式会社は、京都市南区吉祥院蒔絵町三二番地に本店を置き、一般乗用旅客自動車運送業を営むもの、被告人河野政雄は右会社の代表取締役で、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人河野政雄は右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は五、五二三万八六五円で、これに対する法人税額は二、〇九三万四、二〇〇円であったのに、公表経理上、売上げの一部を除外するほか架空の経費を計上するなどして所得を秘匿した上、同五四年五月三一日同市下京区間之町五条下る大津町八番地所在の下京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は、二、〇二六万七、八八六円で、これに対する法人税額は六九四万九、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額一、三九八万五、二〇〇円を免れ

第二  昭和五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は五、八四〇万三、〇八七円で、これに対する法人税額は二、〇七八万九、一〇〇円であったのに、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五五年五月三一日前記下京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は、二、五三一万八、七四三円で、これに対する法人税額は七五五万五、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額一、三二三万四、〇〇〇円を免れ、

第三  昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は七、〇六〇万九、七七七円で、これに対する法人税額は二、六四四万一、〇〇〇円であったのに、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五六年六月一日前記下京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は三、二七七万六、七九八円で、これに対する法人税額は一、一三〇万七、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額一、五一三万三、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人河野政雄の当公判廷における供述

一  被告人河野政雄の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通(検第八八号、第八九号、第九二ないし一〇〇号)検察官に対する供述調書四通(検第一〇一ないし一〇四号)および同人作成の確認書(簿外支出の飲食店の支出及び車代名目渡金の明細に付いて)と題する書面(検第八七号)

判示冒頭の事実につき

一  登記官作成の法人登記簿謄本(検第八一号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の(自昭和五三年四月一日至昭和五四年三月三一日)脱税額計算書(検第六号)

一  大蔵事務官作成の(自昭和五三年四月一日至昭和五四年三月三一日)法人税確定申告書謄本(検第二号)

一  田中武の大蔵事務官に対する質問てん末書(検第六八号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の(自昭和五四年四月一日至昭和五五年三月三一日)脱税額計算書(検第七号)

一  大蔵事務官作成の(自昭和五四年四月一日至昭和五五年三月三一日)法人税確定申告書謄本(検第四号)

一  被告人河野政雄の大蔵事務官に対する質問てん末書(検第九一号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の(自昭和五五年四月一日至昭和五六年三月三一日)脱税額計算書(検第八号)

一  大蔵事務官作成の(自昭和五五年四月一日至昭和五六年三月三一日)法人税確定申告書謄本(検第五号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書三通(検第一五号、第一六号、第二七号)

一  被告人河野政雄の大蔵事務官に対する質問てん末書一通(検第九〇号)

一  河野満徳、渡辺千代子、中嶋章および石井良三の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通(検第五〇号、第六九号、第七二号、第七三号)

判示第一ないし第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算的説明資料(検第九号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一二通(検第一〇号、第一二号、第一四号、第一七ないし二一号、第二三ないし二六号)

一  河野政則の大蔵事務官に対する質問てん末書三通(検第四六ないし四八号)および検察官に対する供述調書二通(検第七九号、第八〇号)

一  豊北照子の大蔵事務官に対する質問てん末書五通(検第五一ないし五五号)および検察官に対する供述調書(検第七六号)

一  加藤孝一の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(検第五八号、第五九号)および検察官に対する供述調書(検第七五号)

判示第一、第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検第一一号、第一三号)

一  幡山太吉、谷大三および宮永矩吉の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通(検第六一号、第七〇号、第七一号)

判示第一、第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一通(検第二二号)

(法令の適用)

一  被告人河野政雄に対し

判示第一、第二の各所為 行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において改正後の法人税法一五九条一項、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑を適用(懲役刑選択)

判示第三の所為 改正後の法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

併合罪 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

執行猶予 同法二五条一項

二  被告人興進タクシー株式会社に対し

判示第一、第二の各所為 行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、裁判時において改正後の法人税法一六四条一項、一五九条一項、刑法六条、一〇条により刑の変更がないので行為時法の刑による。

判示第三の所為 右改正後の法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪 刑法四五条前段、四八条二項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 村上保之助)

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